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化学肥料って何?



肥料の中にはどのような成分が入っているかご存じですか。肥料成分の中で一番重要なのは、葉を作るのに必要な窒素です。肥料の窒素は水素と結合したアンモニアという形で存在していて、アンモニアを含んでいる代表的な肥料を硫安(りゅうあん)といいます。硫酸アンモニウムの略で、アンモニアを含んだ化学肥料です。化学肥料とは工場で化学的に生産される肥料のことです。

では、工場では何を原料として硫安(アンモニア)を作っているのかというと、空気中の窒素です。化学肥料って空気を原料にして作っているんですね。ですから、化学肥料とは「空気からパンを作ること」と言われます。現在の世界人口を養っている食料の多くは化学肥料で育っています。文字通り、空気のおかげで生きているわけです。

肥料が空気からできるなんて夢のような話ですよね。しかも、何となく簡単に、お値段も安く出来そうな感じです。しかし、そういうわけではありません。空気中の窒素は安定していて、水素と結合させてアンモニアにするには200~350気圧の中で温度を500度以上にして、触媒の力を借りて反応をさせます。200気圧って深海2000mの気圧です。高温高圧にするためには石油や石炭を利用した莫大なエネルギーが必要です。窒素に反応させる水素は天然ガスを利用します。ですから、化学肥料は大規模なプラント工場(イラスト2)で作られています。 化学肥料は20世紀の初頭にドイツ人のハーバーとボッシュというノーベル賞を受賞した二人の化学者によって実用化されました。日露戦争前後のことです。このままでは世界人口の増加を維持するための食料確保ができないということが大問題となっており、それを解消したのが化学肥料であり、それを支えたのは石油や石炭であったわけです。