冬はクール便を使いません

農水産物を生産地から小売まで所定の温度に保ったまま流通させることをコールドチェーン
(低温流通体系)と言います。
徐々に整いつつはありますが、完全ではありません。
日本の野菜の8割は市場流通です。2019年に開設した東京の豊洲市場は、温度管理ができる部屋で野菜を保管する閉鎖型施設ですが、他の市場はそうではありません。東京の野菜の50%を取り扱う大田市場においても温度管理ができる定温室の面積は、野菜置き場全体の1割以下で、ほとんどの野菜は夏でも外気にさらされています。






もっとも、大田市場の定温室の温度設定も15℃です。日本における野菜のコールドチェーンは、冷蔵というより暑くならない温度です。むしろ、野菜は凍ってしまうと傷んでしまうので、冬の間に心配するのは温度が0℃以下に下がることです。
産地から市場に運送するトラックは近年ほとんどが保冷車となりました。ただし、冬季に冷蔵を入れて輸送しているかどうかは不明です。もし、冷蔵(温度管理)装置のスイッチを入れているとしたら、凍らないように保温するためにではないかと思われます。また、スーパーのバイヤーさんが市場で購入した野菜を、市場からスーパーまでの移動に保冷車を使っているかは業者によって様々です。
 スーパーで買い物をしていると冷蔵されている野菜が当たり前のように感じますが、流通の段階ではコールドチェーンが途切れることが多く、かえって途切れることによる温度変化の多さの方が野菜の品質的には問題で、冬季に関していえば外気温が0℃以上15℃以下であればそのまま流通させたほうが問題がないというのが日本の野菜流通の現状だと思われます。

 さて、市場流通ではない宅配便の場合ですが、例えば当社(静岡県掛川市)から東京に送る場合、
集配車が来て預けた後に掛川の集荷センターでトラックに入れ替えて浜松にある集約センターに運ばれ、そこで日本各地の地域別に選別が行われます。そして大型トラックで東京品川にある集約センターに運ばれ、そこで再び都内各地の配達店ごとに選別され、配達店でさらに配送車別に選別されて届けられます。
 クール便にしておくと安心な感じがするのですが、クール便が多いときや猛暑の日に冷風を多くしたり、ドライアイスを使用したりしていると、何度も積み替えている最中で冷えすぎて凍ってしまったというトラブルが毎年2,3回起こります。野菜のなかには寒さに弱いものがあり、サツマイモやサトイモやショウガ等は冷蔵庫入れておくと寒さやけを起こしてしまいます。

 農業の世界でも環境に関する意識向上やSDGs(持続可能な開発目標)が求められており、念のためにクール便にするより、必要ないと思うのなら通常便で送るほうがベターと判断して冬季は通常便で送っています。 もちろん、雪が降る地域へは冬でも凍らないためにクール便で送っています。
 クール便で送らせてらせていただくのは以前は6月から9月末までしたが、2017年は5月からとなり、猛暑となった2018年は4月から10月末の間をクール便といたしました。今年はどうなるのでしょうか。

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