「農業をやりたい」という言い方はありますが、「工業をやりたい」とか「商業をやりたい」とは言いません。農業という言葉には職業だけでなく、「生き方」としての意味も含んでいるように思います。英語で農業は「アグリカルチャー(Agriculture)」と言います。語源はラテン語の「Ager(畑)」と「Cultura(耕す)」です。耕すことを続けると「文化(Culture)」になります。
そのように考えると、「農のある暮らし」のような、生き方としての農業の方が、本来のアグリカルチャーに近いのかもしれません。職業としての農業は「アグリビジネス」です。
農業が「職業」として意識されるようになったのは、高度経済成長期の1960年代以降です。それ以前は、「食べるものをつくる」ことは生活の一部であり、ごはんを炊く、お風呂をわかす、子どもを育てるといった日々の営みであり、「職業」というより生き方そのもの、「生業(なりわい)」でした。そのころに行われていたのは、有機農業です。
しかし、経済成長とともに、農薬や化学肥料を使って単一作物を大量に生産し、都市に出荷して収入を得る「ビジネスとしての農業」が広がりました。こうしたやり方を現在、「慣行農業」と言います。しかし、「慣行」とは「昔から続く、普通のやり方」という意味です。有機農業が「慣行」であった時間の方が、ずっと長いのです。有機農業は「特別な農業」ではなく実は昔からずっとやってきた普通のことです。

「野良(のら)に行く」と言う言葉があります。単なる農作業という意味ではなく、「野」に行くことは、生活の営みであり、自然と一体となった戻るべき場所、心も体にも「良い」場所だから「野良(のら)」なのだと思います。
有機農業は生物多様性、有機農場は命のゆりかごです。いろいろな植物が育ち、虫や動物がいて、鳥の鳴き声が1日中聞こえます。農業がビジネスになった今も、有機農場は野良(のら)のままです。
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