
現在は、事前予約での直接お渡しになってます。
しあわせ野菜畑は、2009年4月29日に小さな直売所で野菜の販売を始めました。この日が、しあわせ野菜畑の創立記念日です。
1992年の同じ日、4月29日はしあわせ野菜畑代表の大角(私)が20代から30代にかけて活動していた「静岡骨髄バンクを推進する会」というボランティア団体の設立日でもあります。
この会は、白血病などの血液難病を抱える患者さんのために骨髄バンクへのドナー登録を呼びかける活動をする団体で、私はその設立メンバーの一人です。
当時、白血病は「不治の病」と言われていました。静岡新聞に「骨髄バンクを広めてほしい」という投書をしたところ、新聞社の方から次のようなお返事をいただきました。
「待っていても始まりませんよ。必要としている人が動くしかないんですよ」
このようなコメントと共に、仲間を紹介していただいたことがきっかけで活動が始まりました。
私が活動を始めたきっかけは、弟が白血病であったことでした。一方、仲間の中には大切な人を亡くしてしまったことがきっかけで活動を始めた方がたくさんいました。
活動が実ったとしても、大切な人はもうそばにはいない…。
「ボランティアとは誰のために、何のために行うのだろう」と、よく考えたものです。
ところで、阪神・淡路大震災があった1995年は「ボランティア元年」と言われます。
「静岡骨髄バンクを推進する会」の設立は1992年。当時はまだ阪神大震災の前で、ボランティア活動は「困っている人がやるもの」と思われていました。今の時代ほどには一般に浸透していなかったと記憶しています。周囲の理解が得にくい状況にあって、私たちの活動を支えてくれたのは、ライオンズクラブやロータリークラブの経営者の方々でした。
多額の寄付だけでなく、会社の休日にはビラ配りや講演会を手伝ってくれたり、平日にも県庁や議員のもとへ一緒に陳情に行ってくれたりしました。
「会社の利益にならないのに、なぜこんなに協力してくれるのだろう?」と不思議に思いながらも、「社長さんたちが応援してくれるのなら、自分たちの活動は間違っていないのだろう」と、勇気をもらいました。
数人から始まったこの活動は少しずつ仲間が増え、今では県の予算で事務局が運営され、静岡県総合福祉会館に拠点を置き、県の保健衛生部や日赤血液センター、医療機関、他県のボランティア団体とも連携しながら活動を続けています。
農業経営に専念するため、程なくして私は活動の第一線からは身を引きました。しかし、ボランティア活動中に協力いただいた方々からの応援は、ずっと私の生きる道標になっています。
「あの時に力を貸してくださった社長さんたちのように、次の世代へとつなげよう。明日の社会をつくろう。この思いを忘れずに農業経営をしていこう…。」
こうして、ボランティア団体の設立日を農業法人の創立記念日としました。
健康のために最後に頼れるのは“食”です。だからこそ、明日につながる“生きる力”のある野菜を育てたい。有機農業にはその力があると思います。

立って説明しているのが自分です。
(1992年4月29日)