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生き方としての有機農業

「私は農業やっています」

 誰かにこのように言われた時、皆さんはどのような農業のイメージを持ちますか?
 それで収入を得ている専業農家でしょうか、それとも家庭菜園などの趣味的な農業でしょうか。

 農業を英語でアグリカルチャー(Agriculture)と言いますが、その語源はラテン語のAger(畑)とCultura(耕す)とされています。

 英語のCultureには「文化」の意味がありますね。
 こう考えた時、アグリカルチャーという表現には、何か人の暮らし方や生き方のようなニュアンスを感じます。
 なので、最近の「農のある暮らし」「半農半X」といった生活の方が本来のアグリカルチャーの意味に近いのかもしれません。

 一方で、仕事としての農業はより経済的な要素が色濃いため、アグリカルチャーというよりアグリビジネスという感覚に近いです。生き方よりも働き方。

 先日、スタッフが「農業が“職業”になったのって、いつからなんでしょうね?」と、面白い質問をしてきました。

 個人的には、農業がビジネス(職業)なったのは、明治でも戦後でもなく、高度経済成長の1960年以降だと思います。なぜならこの時期から、農薬や化学肥料を用いて単一作物を大量生産し都市部の消費地に出荷して収入を得る、という現代の農業スタイルが広まったからです。

 一方、それまでの農業は、食べるものを作る、食事を作る、お風呂を沸かす、子供を育てるという日常の営みのひとつであり「生業(なりわい)」でした。
 職業というより、生活そのものです。

 当時は化学農薬や化学肥料は使っていません。
 有機農業に対して、農薬や化学肥料を使うことを「慣行農業」と言います。
 しかし、慣行とは「昔からやってきたこと」という意味ですので、オーガニック(有機農業)の方が慣行であり、普通に行われていたことです。

 かつては、農作業に出ることを「野良(のら)に行く」と言いました。そこで行われていたのは、有機農業であり、エコロジカルな循環型の取り組みでした。今でこそ虫は敵で、雑草は積極的に取り除くべきものとされることが多いですが、もう少し時代を遡って考えると、また異なる見方をしていたのだろうと思います。