こんにちは。しあわせ野菜畑代表の大角です。
4月から新たな道に進まれる方も多いことでしょう。農場では桜が咲き、鳥が鳴き、虫たちが動き出します。畑で暖かな風を感じていると、どこか胸の奥がそわそわするような気分になります。そんな時、春が来たんだなと実感します。
この春から農業の道に進む方も、もちろんいらっしゃるでしょう。そしてそこに至るまでには紆余曲折、色々なことがあったと思います。かつて、自分もその一人でした。ただ、自分が農業を始めたのは40代も半ばを過ぎた頃でした。ではそこに至るまでどのような道を歩き、何を感じてきたのか。そして今、どう歩んでいるのか…。このブログでは、そんなことを紹介しながら、有機農業の魅力を語ってみたいと考えています。どうぞお付き合いください。
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第一回
「農業をやること」は、専業農家の長男である私の幼い頃からの夢です。
しかし、小学校の卒業文集のクラスメートの夢と比べると、自分の夢はあまりに小さく思え、寂しささえ感じたものでした。
そして、その小さな夢を叶えるには、思いのほか長い時間がかかりました。
地元の大学の農学部に進み、卒業論文のテーマを「企業的農業経営の可能性」として、一生懸命に考えたのに、その答えが見つかりません。家業である茶業も長期的な低迷に陥ってしまいました。
「農業高校に答えがあるかもしれない」
そう考えて私は高校の農業教員になりました。教員生活は充実していて、「これは天職かもしれない」と思うこともありました。しかし、生徒から「先生、農業って楽しいですね。農業をやるにはどうすればいいですか?」と相談されるたびに、
「とりあえず大学の農学部に進んだらどうかな」
そう答える自分がいて、その度にそれでいいのかと自問自答しました。
そして、農業の可能性を示すには、自分が農業をやるしかない。そう考えました。
とはいえ、何をどう始めればいいのかが見つかりません。そもそも、「農業をやりたい」と言う人はいても、「工業をやりたい」「商業をやりたい」と言う人はいません。それは、工業や商業が多様な職種に分かれているからです。同じように、農業にも無数の選択肢があります。
「自分に合った山はどれなのか?」
登る山を間違えたら、取り返しのつかないことになるかもしれない。
そう考えるうちに、ますます踏み出せなくなり、その答えを見つけるまでに長い時間がかかりました。
結果的に、いま私は有機野菜作りを生業としています。
では、なぜ私は「有機野菜作り」という山を登ることになったのか。
いや、そもそも、それを「山」に例えたことが間違いだったのかもしれません…。
(つづく)

2014年から静岡新聞第一日曜日の農業欄にコラムを書いています。
2025年のテーマは「有機農業始めてみませんか」
今回は4月掲載予定の記事です。