
7月、非常に暑い日が続きます。高温で降雨がなく水が不足していますが、今のところ野菜はそれなりにたくましく成長してくれています。この時期、とりわけよく育っているのがオクラです。
オクラ(秋葵)は現在では非常にポピュラーな野菜となりました。葵を思わせる、きれいな形の黄色い花を咲かせます。オクラの花は一日花なので、咲いた花はその日のうちに萎んでしまいます。栄養も豊富で、カリウムやカルシウム、鉄分、葉酸、ビタミンKなどを含みます。日本では明治初期に渡来したものの、本格的に消費が増えたのは、昭和40年頃以降と言われています。
オクラという名は、どこか和を感じさせる響きがあります。しかし、その名前は日本語に由来しているわけではありません。その歴史にアフリカからアメリカへ渡ったエピソードがあります。オクラは元々アフリカの原産で、奴隷貿易の過程でアメリカに持ち込まれました。オクラが南部で有名な郷土料理となっているのは、そうした歴史に背景があります。
オクラに限らず、野菜にはそれぞれのバックグラウンドがあります。特に、日本で栽培され、食べられている野菜の多くは歴史の中で「日本の外」から持ち込まれたものです。日本が原産とされる野菜の種類は多くなく、私たちが親しんだものの多くは歴史のどこかの時点で食べられるようになったものばかりです。
野菜は、原産地とは異なる場所でも気候が似ているなどの条件がそろえばよく育ちます。よく育つその季節は「旬」と呼ばれたりします。例えばインド原産のきゅうりは日本の夏が旬ですし、中央アジアの冷涼な気候地帯が原産のにんじんは、静岡であれば冬が旬です。特に、露地(野外)で行う有機栽培において、こう言ったことは当然のことではあるもののやはり非常に興味深いものがあります。
私たちの畑のある静岡県掛川市で現在オクラは旬を迎えています。オクラはどのように食べても概ね美味しく召し上がっていただけるかと思います。軽く塩揉みをして生で、油でサッと揚げて煮浸しに、茹でて刻みにして、または漬物、ヤングコーンのように肉巻きにして焼いても良いですね。カレー炒めも食欲をそそります。ぜひ、色々な食べ方を試してみてくださいね。