
写真:白菜のトウ(菜の花)
春の味覚「ふきのとう」は、漢字では「蕗の薹」と書きます。蕗の薹は大きくなるとフキになります。
では「薹(トウ)」とはなんでしょうか。
トウというのは先端に花を咲かせる茎のことです。
蕗が花を咲かせる茎のことを、私たちは蕗の薹と呼び、春の味覚として楽しんでいるというわけですね。
さて、4月は野菜の種類が少なくなる時期です。これを端境期(はざかいき)と言います。
なぜ端境期になるかというと、大根、ニンジン、キャベツ、白菜、小松菜、ホウレンソウなど冬を越した野菜達がトウを伸ばして花を咲かせ、種を作ったら枯れてしまうからです。
野菜達にとっては子孫(種)を作るのが生きる目的で、その役目を終えてしまいます。
それから夏野菜ができるまでが、端境期となります。
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農家はよく「トウ立ち」という言葉を使います。「トウ立ち」というのは、野菜がトウを伸ばし始めること、つまり花を咲かせるための茎が伸びていることを言います。これはどちらかというとネガティブな表現です。
なぜなら、根や葉に蓄えられていた栄養分がトウに移動するので、大根やニンジンなど根菜類は空洞ができ、葉物野菜は硬くなってしまうからです。そうなると、これまでおいしかった葉や根の部分の味が落ちてしまいます。
しかし、トウ自体は柔らかくて、栄養豊富で甘みがあります。
そうした花と茎のことを、私たちは「菜の花」と呼んで食しています。
野菜によって菜の花は風味が異なります。白菜や小松菜のトウ立ち菜(菜の花)は甘みがありとても美味しく、ルッコラの菜の花からはゴマを思わせる香りがします。
キャベツは葉がバリバリと割れて中からトウが出てくるのですが、割れ始めのキャベツの葉は糖分が多くなっているので非常に甘くなります。その美味しさには驚くものがあり、そしてそのような状態になっても「美味しい」と思わせてくれる野菜に感動を覚えます。
「トウが立つ」という表現は「ピークを過ぎた」という意味で使われますが、野菜にとっては一番の成熟期です。おいしいし、何より花が咲いて最もきれいな時です。
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