前回の記事では、静岡県立大学情報経営学部岩崎ゼミの皆さんによる活動を紹介しました。
今回は、末尾に記したアンケートの結果をブログをご覧いただいている皆さんに共有したいと思います。
アンケートにご協力いただいたみなさま、改めて貴重なご意見ありがとうございました。
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【結果の報告】
まず、アンケートという手法を採用した前提として、マーケティングがうまくいっている農業者に見受けられる特徴を挙げたいと思います。
①消費者と交流をして消費者の声を聞いている。
②価格競争に巻き込まれない。
③安定的な販売先を確保している。
④核となる商品がある。
⑤女性の力を活用している。
農業のマーケティング、つまり「多くのお客様にぜひ買いたいと思ってもらう」ための手法は一つではありません。
私たちは上記特徴の「①消費者の声を聞いている」ことに注目することで、消費者との交流を促すべく、しあわせ野菜畑が宅配しているお客様へアンケートを実施しました。
しあわせ野菜畑の商品はお客様に直接お届けしている点で、お客様との距離が近いという利点が挙げられます。にもかかわらず、スタッフへの聞き取りから、お客様の声を十分に把握しきれていないとの課題が挙げられました。アンケートは古典的な手法ではあるものの、お客様により良い価値を届けるため、しあわせ野菜畑に必要なことは何かを考える一助として、今回の実施に至りました。
しあわせ野菜畑の野菜宅配を定期的にご利用していただいているお客様に、宅配に同封する形でアンケートを送らせていただきました。
回答していただいた皆様ありがとうございました。有益な情報を得ることができ感謝いたします。
早速、結果を共有させていただきます。
【概要】
「しあわせ野菜畑 お客様アンケート」と称して、しあわせ野菜畑の野菜セットをご利用いただいているお客様にアンケートの協力をお願いしました。
実施期間は概ね1ヶ月間(2024年11月)であり、送付数はおよそ500です。うち、回答は20名弱からいただきました。
質問項目は全部で15あり、最後の自由記述式の質問以外は一部を除いて選択式となっています。
今回のアンケートは、主に以下の点を明らかにすべく実施されました。
・どのような年代/性別の方に購入いただいているか
・しあわせ野菜畑のどのような要素が「商品の購入」に結びつくのか
・しあわせ野菜畑にどのような価値を見出しているか/いないか
・しあわせ野菜畑の商品/サービスに対する満足度、印象はどうか
・有機野菜に対するイメージ
【詳細】
ひとつひとつ、回答を確認していきましょう。
Q.1 回答者の性別
Q.2 回答者の年齢
Q.3 しあわせ野菜畑を知ったきっかけ
まず、回答者の基本的な情報を得るための選択肢、Q.1-3を見てみます。
回答していただいたお客様は女性で40代、50代が多いことがわかります。
これは、しあわせ野菜畑が想定している顧客像である「30代から60代の食に関心の高い女性」の範囲ではあります。お子さんが小さな30代、自分の健康に関心が高くなる60代の割合がもう少し高くなると予想をしていましたが、当該年代の回答率の高さを踏まえ、想定する顧客像の再検討をしても良いかもしれません。
Q.3については、しあわせ野菜畑の主な販売先である「ふるさと納税返礼品」が半分以上になると考えていましたが、ホームページが15.8%、知人友人が10.5%とあり、地道な情報発信もまた「しあわせ野菜畑を知ってもらう」ための重要な取り組みであることが窺われます。
Q.4 しあわせ野菜畑を選んだ理由
Q.5 有機野菜に対するイメージ
Q.6 しあわせ野菜畑+「 」=満足 「 」に思いつく言葉を一言で
続くQ.4-6では、しあわせ野菜畑や有機野菜に対するイメージや価値についての質問となっています。
まず、しあわせ野菜畑を選んだ理由としては品質が主要なものとして挙げられます。ここで挙げる品質とは総体的な価値であり、その内訳を具に検討することが、一層のサービス向上につながります。
具体的に言えば、「品質」には何が含まれるのかを探ることです。
・有機JAS取得という安心感が品質を担保するのか?
・農薬を使っていないことが重要なのか?
・実際食べてみた味による評価なのか?周囲の評判なのか?
等、はっきりしない要素があります。
また、環境を大切にしたいという答えが多く見受けられたことは、有機野菜をめぐる動向から考えると「意外」であるとも言えます。しあわせ野菜畑からのヒアリングでは、多くの場合お客様が有機野菜に求めることは「安心安全」であるとのことでした。その実感と、今回の結果は異なる傾向を示しています。
とはいうものの、Q.5における有機野菜のイメージは「安全・安心」「身体に良い」という点であり、それ以降の問いからも「環境」に関わる回答はあまり見受けられませんでした。
環境を大切にしたいという回答が「意外にも」多く得られた要因として、アンケートを依頼した宅配ボックスに同梱されていたニュースレター「しあわせ野菜新聞」にて環境のことを取り扱う記事が掲載されていたことによる影響が推察されます。
そしてQ.6、【しあわせ野菜畑+「 」=満足】という問いに対して「家族団欒」が上位であったのは、人は「モノ」ではなく「コト」に価値を見出していることをよく表していると言えます。
Q.7 満足度
Q.8 最も魅力を感じる写真
Q.7-8では満足度、視覚的な魅力を調査しました。
満足度という点では、味と品質では高い満足度が見受けられます。
同時に、価格や野菜の種類に関しては意見が分散している点も、今後のサービスを構築する際のキーファクターとなりうるでしょう。
Q.8では「魅力を感じる写真」を問いました。
マーケティングの一環として写真を活用することは近年の手法として馴染み深いものであり、活用すべき手段です。
生産風景を写したイメージの場合、単に畑や農作物だけが映るよりも、人が重なる方が写真から魅力を感じやすい(親近感を持ちやすい?)のではないかと考えられます。
Q.9 現在のロゴの印象
Q.10 イメージに合うフォント
Q.11 他の人に勧めたいか
Q.9-11では、しあわせ野菜畑の視覚的なイメージや、他人へのおすすめ度合いを調査しました。
ロゴはブランドのイメージを決定づける非常に重要な視覚的記号であり、ブランディングの目的地かつ手段です。
有名なブランドであれば、ロゴを見ただけで「そのブランドの商品やユーザーのイメージ」が想像されやすく、人々がロゴそれ自体に魅力を感じる場合も少なくありません。
ロゴは、人々に企業の商品/サービスを知ってもらうための宣伝媒体でありながら、同時にそれ自体に魅力を感じてもらうアイコンでもあります。企業が考える自社ブランドイメージを、お客様からの実際の見られ方と一致させることが重要です。
しあわせ野菜畑のロゴに対する印象は「やさしい」「親しみやすい」という回答が多くを占めており、これはしあわせ野菜畑の自社イメージと一致しています。
よって、ロゴが喚起する柔らかな印象を「しあわせ野菜新聞」やその他の文字デザインと統一させることで、サービスに一貫性のあるメッセージを付与することが可能となります。
Q.12 食に関して栄養・安全性に気を遣うか
Q.13 食に関して量より質を重視するか
Q.14 SNSを使う頻度
Q.12-14は食に関する日常的な関心と、SNSの使用頻度を尋ねました。
食に関する情報はSNSの発達で膨大な量が流布しており、情報の収集にも取捨選択のリテラシーが求められるようになっています。しあわせ野菜畑がSNSを通じて情報発信をすることもまた、お客様に必要な価値を届けるために必要な行為と言えるでしょう。
Q.15 ご意見・ご感想
最後のQ.15では、自由記述として意見や感想を募りました。
しあわせ野菜畑の野菜は「有機」であることと「多品目」であることが特徴であることが窺える結果となりました。これは、必ずしも好意的に受け止められているだけではないことが散見されます。
有機であることの基準を可能な限り発信することや、お客様にとって「馴染みの薄い」野菜の活用方法を提案すること、こうしたお客様の「困りごと」に対するきめ細やかなフォローが常に求められていると言えるでしょう。
以上が、簡易的ではありますが、私たちゼミ学生からの結果報告となります。
最後の記述欄では、しあわせ野菜畑に対する意見だけではなく、私たち学生にもメッセージをくださり、非常に嬉しく思います。
「岩﨑ゼミの皆様応援しています」のメッセージに感動しました。
皆様のご協力、本当にありがとうございました。
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改めて、しあわせ野菜畑からも皆様にお礼を申し上げます。
アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
このブログを始め、野菜新聞やSNSにおいて情報発信を充実させながら、商品価値の向上に努めてまいります。