親の意見と茄子の花は千に一つも無駄がない
「ナスの花が咲くとすべて実をつけるように、親が子を思って忠告することは必ず役に立つから親の意見をよく聞きなない」という昔の教えです。
自分も知りませんでしたし、聞いたとしても意味が伝わらないでしょうね。
「親の意見」はさておき、「ナスの花には無駄がない」とはどういうことでしょうか?
ナスの花は下向きに咲きます。それから、おしべが袋状になって下側に穴があいていることがわかりますか?
ナスは自家受粉植物です。自分の花粉で大きくなることができます。
袋状になったおしべの中に花粉をたくさん詰め込んで、雌しべに向けて穴の中から花粉を落として、雌しべの柱頭にくっつきます。
この雌しべの長さが栄養状態によって長くなったり短くなったりして、時にはおしべより短くなることがあるので、「花が咲くとすべて実をつける」というわけではないのですが、非常に効率よく受粉できるようになっています。
ここで大切なのは、花粉がおしべの袋からコロコロと絶え間なく落ちることです。
花粉には粘性があるので、下向きなだけでは落ちてくれません。風が吹いて枝が揺れることで花粉がこぼれ落ちます。
だから、ナスは栄養状態が良くて雌しべが長くなっていれば、風が吹けば受粉ができて実をつけます。
自家受粉できるから昆虫の力は必要ありません。昆虫に来てもらうための蜜を出さないし、もし、出したとしても、下向きに咲くから蜜はたまりません。花粉も袋の中にしまわれしまっているので、花粉が目的の虫もやってきません。風が吹けばいいのです。

さて、近年ナスはハウス栽培が増えています。冬のナスは100%ハウス栽培です。ナスは、太陽の紫外線によってナス色とも言われる濃い紫色となります。
ハウス栽培や温室栽培で使われるビニールやガラスは紫外線を減らす効果があります。だから、ハウス栽培や温室栽培のナスの色は薄くなります。冬はそもそも太陽の光が弱いので、冬のナスの色は薄い紫色です。
さて、ハウス栽培や温室栽培にはもう一つ課題があります。なんだかわかりますか?

ハウス栽培や温室栽培では風が吹きません。そこで、株を揺らしたり棒でたたいたりして花粉を落としたりする「振動受粉」を行なったりもしていますが、ハウス栽培や温室栽培ではナスにホルモン剤をかけています。
そもそも、野菜の実が大きくなるのは、種を動物たちに食べてもらいたいからです。受粉して種ができ始めると、種からはオーキシンという「種子ホルモン」が出て実を大きくします。
植物から抽出できる天然の種子ホルモンである、インドール-酢酸、フェニル酢酸や合成オーキシンのナフタレン酢酸を水に溶かして、雌しべにかけてあげると、種が出来なくても実が大きくなります。
だから、冬のナスには種がありません。
時に、お客様から「しあわせ野菜畑さんから届いた、ナスを切ったら真っ黒い種で一杯でした。食べられますか。」という問い合わせがあります。種があるのは、自然の中で風に吹かれて受粉されたナスの証です。種が多いのは”生きる力”がたくさんある証です。
ちなみに、完熟で収穫するとナスの実の色は黄色になります。「しあわせ野菜畑さんから届いた、ナスを切ったら中が茶色かった、食べられますか。」という問い合わせも時々ありますが、完熟バナナと同じだと思って食してくださいね。
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