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【5月第4週】じゃがいもの歴史と土の香り

写真:じゃがいもの花

 じゃがいもの花が咲き、まもなく収穫を迎えようとしています。じゃがいもは、トマトやナス、唐辛子と同じ「ナス科」の植物です。少し意外に思われるかもしれませんが、花を観察すると、ナスとよく似ていることがわかります。

 芋をつける植物は、雨季と乾季がはっきりしている地域によく見られます。じゃがいもの原産地であるアンデス高地は熱帯で、さつまいもの原産地である中央アメリカも熱帯性気候です。このほか、蒟蒻芋や里芋、山芋なども、やはり雨季と乾季がよく区別される地域にそのルーツがあるようです。

 このような環境に適応し、生育にとって不利な長い乾季を生存するために、植物は地下茎や根に養分を貯蔵する生態型をとるようになった(あるいはそのような特徴を持つ植物が生き残った)と言えるでしょう。

 今では世界的に食べられているじゃがいもですが、その歴史には実に様々なストーリーがあります。例えば19世紀中頃のアイルランドでは、じゃがいもの病気が発生。単一品種に依存していたことで、一気に病気が拡大し全国的な不作になってしまいました。飢饉となり、およそ100万人が餓死、また100万人がアメリカへ移住したという大惨事になったそうです。

 日本では17世紀頃に日本へ伝来した説があります。しかし、本格的に食卓に上がるのは明治時代以降。今では品種も様々、当たり前のように食べられる作物になっています。

 しあわせ野菜畑でも、まもなくじゃがいもの収穫が始まります。栽培している品種は、メークイン、きたあかり、アンデスレッドです。定番の肉じゃがやコロッケにしたり、素揚げやジャーマンポテトにしたり、どんな料理にも合いますね。

 じゃがいもを土から掘り上げ大きな芋が顔を出すと、自然と笑みが溢れます。広がる土の香りに、アンデス地方でも同じような匂いを感じるのだろうかと、遠い異国の地へほんの少しだけ思いを馳せるのでした。