
左)花粉を出して役目を終えた雄のホウレンソウ
右)受粉をして種ができ始めた雌のホウレンソウ
一般的に、植物には性別がありません。
しかし、雌雄異株(しゆう・いしゅ)と言って雄(オス)と雌(メス)に分かれているものを観察できる場合があります。
※「雄(オス)」と「雌(メス)」という表現に違和感があるかもしれませんが、これは園芸学上の決まりごとなのでご了承ください。
例えば、イチョウは雌雄異株の植物です。
ギンナンの実るものがメスの木、そうではないものがオスの木です。イチョウの他にはソテツやキンモクセイ、ヤマモモといった樹木を中心に雌雄異株の植物があります。
一方、野菜で雌雄異株なのは大変珍しく、例えばほうれん草やアスパラガスがこれにあたります。この時期、しあわせ野菜畑の農場ではほうれん草の花が咲いていて、雌雄で異なる花の様子を見ることができます。
いわゆる「ほうれん草」として食する葉の部分は、雌雄なくすべて同じに見えます。しかし実はオスとメスがあり、それを観察できるのが「トウ立ち」(植物が花を咲かせるための茎を伸ばすこと)のタイミングなのです。
ほうれん草は花粉が風で運ばれる風媒花で虫の働きによる受粉の必要がありません。ですので花は目立ちませんが、雄花は茎の先端に花を咲かせて黄色い花粉をたくさん出します。そしてそれが雌花に飛来し付着すると、花粉が受粉して次世代への種子となります。
ひと束でまとめて売られているほうれん草ですが、実は株によって性別があるのです。お届けしたほうれん草の一株を水が張ったコップに入れておくと、もしかしたら花を観察できるかもしれません。
もちろん野菜ですので、トウの部分も食べられます。葉の部分は筋っぽくなりますが、トウの部分は柔らかくておいしいです。