野菜が好きになる話(5月1日)

投稿日:2016.04.29投稿者:siawaseyasai

家庭菜園で人気のキュウリですが、大きくなってくると支柱からズルッと下がってしまうことがあります。「朝顔やヘチマは自分で絡まりながら伸びていくのに、何でキュウリは縛るのだろう」と思ったことありませんか。

「地這いキュウリ」といって支柱をしないで育てるキュウリがあります。実はキュウリの本来の姿は「地這い」です。ところが原産地であるヒマラヤ山脈の麓の気候に比べて日本は蒸し暑く、地面に這わせて育てると、うどんこ病やすす病というカビの病気にかかりやすいです。そこで日本人はきゅうりに支柱をして空中に伸ばして風通しを良くすることで病気を防ぐ方法を生み出しました。

ですから、きゅうりの巻ひげには地面に這う時に、石や草につかまって風に飛ばされないようにする位の力しかありません。自分の力では支柱をよじ登っていくことができないので、空中で育てるためにはヒモを使って結んであげる必要があります。根が浅いのも体を支える力が本来は必要ないからです。

ちなみに、トマトも同じで、外国では支柱なしで畑の上に寝そべった状態で育てます。何しろトマトには巻きひげすらありません。

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そんなキュウリの巻ひげですが、構造的には非常に巧妙で、よく見ると途中で巻き方が変わっています。巻く方向が一方向だと引っ張られた時に切れてしまいますが、回転方向が変わる「反せん点」があることで、バネのように伸び縮みすることができるのです。「巻ひげ」とは言うものの、巻きながら伸びるのではなくて、最初は真っすぐに伸びていって何かに触れると捩れて体をその方向に近づけます。物理で言うところの「曲げモーメント(しなり)」ができるわけです。

 

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(2016年5月1日 静岡新聞)

毎月第1日曜日、静岡新聞朝刊にて「野菜が好きになる話」コーナーを担当しています。

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